すべてB'z~たまにB'z以外~

リモートDTMロックユニット「親戚グルーヴ」のコンポーザー"ヒロ・ヴィシャス"が大好きなB'zの楽曲群をデビュー曲~年代順にシングル・アルバム曲を1曲ずつレビューしていきます

台風でもくりゃいい

ソロアルバム「マグマ」
9曲目「台風でもくりゃいい」
 
どっしりとタメの効いたミドルテンポグルーヴがクールなブルージーなロックナンバー。
ヴォーカルスタイルはどこかB'zっぽさを感じます。

イントロ、いきなりAメロ♪シャンペンを飲んで〜クランチの効いたギターコードストロークにブルージーで陽気なメロディー。
Bメロ♪悲しむ暇などない〜穏やかなメロディーに一転、バッキングギターの気だるいコードの鳴り方がGood、そしてグルーヴの肝であるベース、タメが効いて、高い音階を駆使して奏でるベースフレーズが素晴らしい。
サビ♪台風でもくりゃいい〜ダンサブルでブルージーなメロディー、地を這うようなブリブリ鳴るベースグルーヴが最高、このタメの効いた感じが気持ち良い。
サビが終わり間髪入れずにブルースハープソロ、このリズムで勢いのあるブルースハープフレーズ絡み、とにかくノリが良い。
間奏になるとニュースキャスターが台風情報を読み上げる音声が流れるんですが、こういう自由な発想が良いですよね、面白いアイデアが盛り込まれています。

後半はメロディーを崩しながらフェイクを交えてソウルフルで高音が冴え渡るヴォーカル、もう稲葉氏の独壇場、とにかく自由に歌ってます。
♪倍テンでいっちゃうよ〜のシャウトが最高にキレてます、シャウトの抜けが気持ちいい。

歌詞を全文載せておきます。

"シャンペンを飲んで 騒いで吐いて 気持ち悪いから眠れない

 眠れないから 街を歩いてみた 眠くなるまで 歩きつづけた

 自動販売機を こわして逃げた 吸いたいやつは いつも 置いてない

 だれかが僕を 指さし笑った うつむいて僕は 走りさった サウナで支配人に 丁寧に追いだされ

 家に帰れば イオリがいない 白いフェラーリに おもいきりオカマほられた
 ちゃらちゃらしたやつに ほられちゃった

悲しむひまなどない どれもこれもがささいで 冗談ばかりで また 消えてゆくよ

台風でもくりゃいい でっかいのでもきてくれりゃ 彼女に会いに出かけてみたい やな事全部 帳消しにしたい 「何かが来る」としゃべってる

 目立ちたがりやのニュースキャスター 愛をください ただでください 余りものでいい 寄付してくれ

 台風でもくりゃいい でっかいのでもきてくれりゃ もうちょっとは幸せになれるでしょうか

 泣くな騒ぐな 卑屈にゃなるな そして僕のマグマは 熱くなるよ

時間は余ってない 倍テンでいっちゃうよ すべてはただ 過ぎ去ってゆくよ 塵のように吹き飛んで GONE…

出だしはちょっと「クスッ」としまう歌詞で、ほんわかした内容かと思ったのですが、蓋を開けてみたらなかなかヘヴィな内容。
これでもかと思うくらい、自堕落で器物損壊までやってしまう心が荒ぶる主人公、とにかく次から次へと災難に見舞われます。悲哀な感じでもそこまで重くなり過ぎず「クスッ」となってしまうのは稲葉氏の表現力の凄さかと。
主人公は災難続きでストレス限界の所まで来てます、そんな時、台風でも来てメチャクチャにならないかなぁ〜とふと思う、もう世の中がメチャメチャになれば俺はこんな辛い気持ちからは開放されるのにと思ってる(子供の頃学校に行きたくないなぁ、台風が来て休みにならないかなぁ、と思う事ありましたよね?これと一緒の気持ちですかね)
主人公は、自分の気持ちを抑え込みそれを発散できない、自分の気持ちを主張をしたいがなかなかそれを言える勇気がない、だからいっそのこと世の中なんか壊れしまえ・・・何とも最悪な他力本願になってしまう。
でも、こういう思考の人って結構いると思います。自分の意見をハッキリ主張できる人ばかりではないですからね、そんな人間の持つリアルな本音を見事に表現、代弁してくれる稲葉氏はホント尊敬しかないです。

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