すべてB'z~たまにB'z以外~

リモートDTMロックユニット「親戚グルーヴ」のコンポーザー"ヒロ・ヴィシャス"が大好きなB'zの楽曲群をデビュー曲~年代順にシングル・アルバム曲を1曲ずつレビューしていきます

風船

ソロアルバム「マグマ」
8曲目「風船」

ピアノ主体で構成された優しいバラードナンバー。
ほ所々チェロとホルンのフレーズが入るだけで、ほぼピアノのみで演奏され出ます。
稲葉氏の高音ヴォーカルは皆無で、ささやくような低音で歌っており、B'zでは絶対見られない側面。
ドロっとした陰鬱さや気だるさは無くメロディアスなピアノバラードなので、万人受けする楽曲だと思います。

イントロ、優しいピアノフレーズ、これがホントに優しい、もう名曲感出てます! 

Aメロ♪風船が浮かんでいる〜癒やしのメロディー、このささやくような歌い方が超エモーショナル。

サビ♪どうか割れないように〜優しいメロディーに中に儚さが混ざって、ちょっぴり切ない。
弱めのファルセットを使って、語尾を上げてのフェイクが超エモーショナル、B'zのミニアルバム「FRIENDS」
からこの弱めのファルセットを使い始めており、稲葉氏のヴォーカリストとしての深みが出てきてます。進化を感じます。

歌詞を全文載せておきます。

”風船が 浮かんでいる
二人の間に浮かんでいる
ちくちくいじめてみたり
ときどき いとおしく見つめてみたり

どうかわれないように どうかいつまでも晴れの日も 雨の日も ふわりふわり
ときには 屋根の上 ときには すぐとなりで何もないように ただ身をまかせている
いつかくる大きな風を待って
ぼくらを乗せて青い空をゆけ

風船が ふくらむのは
二人のきもち やさしいきもち
さみしげにしぼんでいるのは
かなしい言葉を ふきこんだから

どうかわれないように どうかいつまでも晴れの日も 雨の日もふわりふわり
ほんの少しだけのわかりあえること
そんなもろいものたちがつまっている
二人ではじめたことを みんな
ゆっくり育てよう花が咲くまで

はなれることは終わることじゃない”

 

風船を「恋人同士の気持ちや魂」「二人の未来」に例えて描かれています。この例えを考えつく発想力がホントに素晴らしい。
風船はほんの少しのさじ加減で萎む、膨らむ、割れる、とても繊細。
人間にも同じ事が言える、幸せな気持ちで過ごしていたと思ったら、ほんの少しのすれ違い、言葉足らずで、嫌な気持ちになり険悪な雰囲気になってしまう、ホント繊細な生き物。
これを二人の息吹きを風船に吹き込むと"膨らむ時は優しい気持ち"
"萎む時は悲しい気持ち"と表現しており、それくらい人間の心も脆い物だと説いております。凄い表現力。
そして驚愕のラスト、風船が割れないように二人の気持ちをこのまま育んで行くのかと思いきや「はなれることは終わることじゃない」とまさかの2人が別れる展開、こんなシンプルなフレーズでドラマばりの落ちを持ってこれるセンス、ホントに凄い。

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