すべてB'z~たまにB'z以外~

リモートDTMロックユニット「親戚グルーヴ」のコンポーザー"ヒロ・ヴィシャス"が大好きなB'zの楽曲群をデビュー曲~年代順にシングル・アルバム曲を1曲ずつレビューしていきます

MOTEL

15作目シングル「MOTEL」  1994年11月21日発売

ブルージーでひたすらダークなロッカバラードナンバー。

暗黒時代を締めくくる楽曲で、サウンドは2枚組アルバム「The 7th Blues」の流れを踏襲しております。 渋くてアウトローな雰囲気が漂っていて、日本人でありながらアメリカンな雰囲気をここまで出せたのが凄い、センス良いです。ロッカバラードでミリオンを叩き出したB'zの人気の高さと、余裕が窺えます。

イントロは、アコギを使い、コードアルペジオを主体にしたギターフレーズが超アメリカン、松本氏ならではのニュアンスでしょう、ホントにセンス良い。

ドラムフィルからのロッカバラードリズムが始まり、Aメロ♪辿り着いた小さなベッドで〜細かい符割り、早口なメロディーが印象的、稲葉氏ならではの歌唱ですね。 ♪重ねても はみ出す心〜この部分のマイナーな雰囲気は、特有の暗さなんとも良い感じ。

ハイコードを切りながら響かせ、オクターブ奏法やオブリを上手く使い、ヴォーカルの隙間を縫う絶妙なバッキングがクール。

サビ♪ひとりじゃないから 汚れながら生きてる〜♪「ひとりじゃないから」の所がヴォーカルのみの歌唱、超インパクト大、「汚れながら〜」でバンド演奏が入る所がドラマティック、このアウトローを感じさせるメロディーがたまらない、なんとも言えない雰囲気です。

ナチュラハーモニクスやグリスダウンを自由度の高いバッキングギター、邪魔にならずにヴォーカルが引き立つのが凄い、上手く溶け込んでロックな雰囲気出てます。

ギターソロ、これでもかと思うくらいねちっこいチョーキングを織り交ぜたソロフレーズが素晴らしい、松本氏ならでは。ソロ後半のトリルが楽曲を盛り上げています、しかし凄いギターソロです。

ギターソロ後の♪ohひとりじゃいられないなら~のロングシャウトが鳥肌モンです、超カッコイイ。

この楽曲のクライマックスは ♪Uh...it’s a cruel world. Can’t you see? 〜の超エモーショナルなコーラス、何度も言いますが、このアウトロー感がホントに素晴らしい。稲葉氏のフェイクも最高切なく、正に内なる叫びが冴え渡ってます。

ギターのアルペジオで楽曲は終わりますが、メチャメチャ雰囲気出てます。

歌詞は「犯した罪は消えない それを背負って生きていく」のような内容、主人公は何らかの罪を背負って生きています。

日本になじみのないモーテル、モーテルは自動車で移動する人のためのホテルで、道路沿いにあり、低層に並べられた客室群をそなえた宿泊施設との事、主人公はひっそりモーテル暮らしをしています。

「ひとりじゃないから 汚れながら生きてる 罪に寄り添い アイツも泣くよ 星降りそそぐこのモーテルだけが 僕らを撫でてくれる」

汚れながら生きているとは、罪を犯した事を示唆しています、主人公は孤独ではなく、自分の事を全て受け止めてくれるパートナーがいるようで、一緒に犯した罪と向き合ってくれている献身的なパートナー、そんな2人には、他に頼れる人はいない、そんな孤独な2人を優しく包み込んでるくれるのはこのモーテルだけ、アウトロー感溢れる歌詞です。

「重ねてもはみ出す心 安い石鹸のようにすり減らし」という歌詞がありますが、相変わらず破壊力抜群の比喩表現です。

「勢いないぬるいシャワーで体を洗い流して ただの独りよがりの禊ぎ」

体を洗い流して汚れが落ちるように、罪は絶対に洗い流す事はできない。

この楽曲で私は「禊ぎ」という言葉と意味を知りました(笑)

「きれいな宝石(もの)だけを愛した君は それでも僕といるね」 罪とは無縁の世界にいたパートナー、そんな主人公に献身的に寄り添う、主人公に言いたい「彼女を大切にしろよ!!泣かすなよ!!」と。

「ひとりじゃないから 忘れながら生きてる 根雪のよな思い出が夢に出て こらえきれずに塞がりかけた 傷をまた掻きむしる」 犯した罪を忘れようとすれば、何度も夢に出て、また傷つき、苦しんでいる主人公。

「ひとりじゃいられないなら 奪いながら生きてる 何も返せるものは無くても 冷たい風が窓を叩いて 僕は君抱き寄せる 明日は何処へゆこう...」

罪を犯して、傷つけてしまった人々に対し、自分が出来る事は、罪を懺悔し償って生きていく事、与えられる物はないけれどパートナーと寄り添って、罪と向き合って細々と生きていくのでしょう。

歌詞は稲葉氏が夏に終戦記念のテレビを見ていて「どうしたら昔やった事に対して罪を償えるのか」と考えた時に浮かんだと語っております。

確かに戦争て人を殺めてしまった罪を背負うという内容でも当てはまりますね。

んー深い。
 

 

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