すべてB'z~たまにB'z以外~

リモートDTMロックユニット「親戚グルーヴ」のコンポーザー"ヒロ・ヴィシャス"が大好きなB'zの楽曲群をデビュー曲~年代順にシングル・アルバム曲を1曲ずつレビューしていきます

JAP THE RIPPER

アルバム「The 7th blues」DISC2 4曲目「JAP THE RIPPER」 

B'zの中でも屈指のスタジアムハードロックナンバー。完全に洋楽です。

本アルバムはこの楽曲のためにあると私は以前より勝手に思っております(笑)

ここまで高水準の完全日本語詞のハードロックはなかなかお目にかかれない。

この「JAP THE RIPPER」は93年の夏、本アルバムがリリースされる約1年前、 B'zデビュー5周年の節目に『B'z LIVE-GYM Pleasure '93 "JAP THE RIPPER"』というタイトルで、静岡県浜松市渚園にて5万人規模の野外ライブを敢行、当時B'z最大のお祭りであり、重厚なサウンドへ移行するための1つの区切りのライブでした。

その大祭典のオープニングナンバーがこの「JAP THE RIPPER」しかも当時未発表曲、CD売上もうなぎ上りですでに人気絶頂のB'z、誰でも知ってるであろう馴染みの曲から始まるかと思ったら、こんなストレートなハードロック未発表曲をいきなりぶちかまして来ました、ホント痺れました、なんだかよく分からないけどもう破壊力抜群で、それがまた異様なテンションと熱気を発しており、それから私はこの楽曲の虜です(笑)

5万人規模のライブでいきなり未発表曲を持ってくる辺りかなり挑戦的、当時のB'zの勢いと余裕を感じました。

イントロは♪JAP THE RIPPER〜とイカついギャングボイスから、死ぬほどカッコいいハードロックギターリフが鳴り、ドラムフィルからヘヴィなグルーヴを展開、このリフ→バンド演奏の流れが超超カッコイイ、テンション上がらない訳がない。

のっけから短く激しいギターソロが入り、稲葉氏のHu!と共に一旦ブレイク、8ビートのドラムリズム、超クールなベースリフに静かにオルガンが絡む所、ゾクゾクします。

このベースリフがAメロ♪なんぼ飲んでも効きやしない〜のメロディーを引っ張り、ギターバッキングはアーミングを駆使したトリッキーなフレーズが効果的に使われてます。松本氏は日本屈指のアーミング使い。

Bメロ♪心はいつもいつも流されまくりながら〜ディストーションが効いたパワーコードの応酬、サビへ向かってジリジリとテンション上げてます。

サビ♪強引なおのれをさらして〜ギターリフと連動したサビメロディーはワイルドでキャッチーでカッコイイ、 そして♪NaNaNaNaNaNa〜ライブで大合唱要素バッチリの最強コーラス。

ギターソロは、♪Na〜Na〜伸びやかなコーラスから、一気に爆発、これでもかと鬼気迫るように弾きまくる松本氏、海外のロックギタリストみたい。

ライブでの恍惚の表情が何とも素晴らしい、弾いている気持ち良さが伝わってきます。そしてダメ押しの超ロックなオルガンソロ、これだけ70年代のロック(特にDEEP PURPLE)要素をカッコ良く昇華させるB'zのアレンジ力はさすが、しかも大衆にウケるという凄さも持ってます。

アウトロの盛り上がりはハチャメチャなテンションです。

稲葉氏のヴォーカルは、もう水を得た魚の如く、とにかくシャウトとハスキー高音ヴォーカルが冴え渡る、凄く楽しそう、ギター同様歌っていて超気持ち良いんだろうなぁという感じが伝わってきます。

歌詞は「流されやすい日本人に物申す」という内容、具体的にはミーハーなB'zファンへの皮肉も歌っており表向けの歌詞はエロい、しかし隠された意味がある稲葉氏お得意のダブルミーニング

まずタイトル「JAP THE RIPPER」かなり攻めてますよね、タイトルはイギリスの連続殺人鬼の通称、「JACK THE RIPPER(切り裂きジャック)」に由来してます。

しかも「JAP」は太平洋戦争時、アメリカ人が日本人への侮蔑的用法としていた用語、よくクレーム来なかったなぁ(笑)

「なんぼ飲んでも効きやしない そのやすいクスリもう 何にすがって生きてるのアナタのライフ」何かあるとすぐ 酒やクスリに逃げる、病は気から。

「こころはいつもいつも流されまくりながらも その色を変えてゆくよ 古くて臭いシャツを引き裂いたら 大好きな君を捨てよう」

その時の流行りや気分でどんどん流されていく、もちろん聴く音楽も。 B'zは人気絶頂、特に稲葉氏はルックス 良さからアイドル的に見る女性ファンは多かった、B'z自身、アイドル的に見られる事からの脱却、ミュージシャンとしてB'zが作り出すロックな側面を見て欲しいと強く思い始める時期、古いシャツ(B'z自身)を引き裂くとは、初期のデジタルでポップなアイドル的要素があった今までのB'zから脱却する事、自分達のやりたい音楽を提示していく、例え昔からのファンが離れてしまったとしても・・・・大好きな君とはファンの事でしょう、当時のB'zの心境が伺えます。

「強引なオノレをさらして  ヤりゃいい 明日がくるその前に  後悔をなすらないでよネ  ダしゃあいい タマがうずくなら」

明日を待たずしてとにかく行動しよう、そこで後悔だけはしないように、例え後悔しても人のせいにしないこと。 湧き上がるように魂がうずくのなら、それを行動に移してどんどん形すればいい。 見た目がエロい歌詞にはこんな意味が込められています。

これが1番伝えたいことなのでしょうか。

「だれもが権利をもってる オリジナルのやつを 悦びもがきダメになれる権利なんだよ」

この権利とは日本国憲法第13条の幸福追求権の事だとある人から教わりました(笑)

人はオンリーワンな存在であって、好きな物は好きと言える自由、それを変えるのもまた自由。

「キミはボクからまた目をそらしながらも ボクの自由にビビってる」

B'zは自由に路線変更をする、それを受け入れられないファンはB'zの変化に驚き、目をそらし始める。

「カウンターの下のヒワイな話やめて さあハダカになれよ」

カウンターの下、つまり見えない所でコソコソとB'zの陰口言わないでよと言いたいようです(笑)コソコソしないで丸腰で行こうぜ!と。

本楽曲、2001年以降のライヴで演奏されていないのが残念、現メンバーのグルーヴで聴いてみたいです。   

 

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