すべてB'z~たまにB'z以外~

リモートDTMロックユニット「親戚グルーヴ」のコンポーザー"ヒロ・ヴィシャス"が大好きなB'zの楽曲群をデビュー曲~年代順にシングル・アルバム曲を1曲ずつレビューしていきます

LOVE PHANTOM

18作目のシングル 「LOVE PHANTOM 」 1995年10月11日発売

ハウスビートを主体にしたドラマティックなオペラロックナンバー。

説明の必要がないくらい有名、おそらくB'zファンではなくても知っている超有名曲でしょう。

B'zのデジタルとハードロックの両面を兼ね備えた楽曲であり、B'zが作った楽曲の中で今までにもこの両面を持ち合わせた楽曲はいくつかありますが、この楽曲は別格、最高到達点から更に突き抜けてしまっている、B'z史上、いや日本音楽史上に燦然と輝く最高傑作である事、間違いないと私は思っております。

イントロは世界レベルのストリングスアレンジ、もはや交響曲?ヴァンパイア映画のサントラ?と錯覚するくらいのドラマティックなメロディー、鳥肌立ちます、そしてもっと凄いのがこのストリングスに絡む松本氏のギター、アーミングを駆使して唸るようなトリッキーなサウンドを出しているにも関わらず、ストリングスに馴染んでおり、これかハンパじゃなくエモーショナル。

この楽曲のとにかくアーミング奏法を駆使したギターの「咆哮」がホントに素晴らしい。

スリリングで怪しい印象的なピアノフレーズ→ハウスビートが始まる→ヴァンパイアヴォイス、この展開はヤバい。

そしていきなりサビ♪いらない何も 捨ててしまおう〜いきなりインパクト大大大のサビ、見事にノックアウトされ、平常心じゃいられないくらいの衝撃でした。

稲葉氏のハスキーな声質、高音の伸び、シャウト、どれを取っても完璧なワイルドなヴォーカルがとにかく最強です。

Aメロ♪忙しい街の感じか嫌だよ〜ダンサブルなリズムとメロディーが気持ちいい、隙間を切り込んでくる、松本氏のオブリが絶妙、アーミング奏法を効果的に使った斬新なバッキングギターは存在感抜群。

途中のラップ?♪君がいないと生きられない〜怪しいバッキングがこれまた雰囲気出してます。 ♪そして私は潰される〜のフレーズがちょっと怖い(笑)

Aメロ→サビの繰り返しというシンプルな展開なのに、後半になるにつれどんどん盛り上がりを見せ、物凄く引き込まれていきます。

間奏に入るとオペラ調の女性コーラスパート、この儚く闇のあるメロディーがもう最高、正直この楽曲で私が1番好きな部分、ここだけ何回も繰り返し聴けます、マジの話で(笑) ホントに好きなメロディーです。

この後松本氏のドラマティックで壮大なギターソロ、クライマックスのレガートを駆使した上下行フレーズは圧巻、そしてストリングスとのユニゾンフレーズで更に鳥肌。超ドラマティックです。 何回も言いますが松本氏はロックギタリストの枠にはハマり切らない、畑の違うストリングスとこんなに相性バッチリなフレージングを考えられるんですから、しっかりとこの楽曲の本質を捉えてる証拠。 

アウトロ、儚いオペラ調女性コーラスと共に繰り出される松本氏の泣きのギター、女性コーラスの主旋律をなぞるメロディーを奏でていて、フレーズはさほどテクニカルではないのに、メチャメチャエモーショナルで感情揺さぶられます。凄くドラマティック。 タイトルを和訳すると「愛の幻影」楽曲の雰囲気からすれば「愛の亡霊」でもしっくりくる気がしますけどね。

歌詞の内容は「愛する女性への欲求が強くなり、自分が作り出した彼女の幻影が独り歩きして、それに溺れてしまう」という感じ、稲葉節全開、女性に振り回される歌詞が多い稲葉氏、同じ内容でもスケールアップしてます。 

「いらない何も 捨ててしまおう 君を探し彷徨う MY SOUL STOP THE TIME, SHOUT IT OUT 我慢できない  僕を全部あげよう」

有名なフレーズなので説明の必要はないと思いますが。 君が以外何もいらないという、のっけから殺し文句。何回も言いますが稲葉氏ほどのルックスで「僕を全部あげよう」なんて歌われたら落ちない女性はいないですよね。反則だ(笑)

「せわしい街のカンジがいやだよ  君はいないから 夢に向かい交差点を渡る 「途中の人」はいいね」

ゴールや目標に達する途中の方が楽しかったりします、恋愛も相手を探っている最中の方が楽しかったりと、主人公はそんな人達を「途中の人」と表現し、羨んでいる様子。 「ふたりでひとつになれちゃうことを 気持ちいいと思ううちに 少しのズレも許せない せこい人間になってたよ」

愛する人と体を重ねる度に相手を愛する気持ちが強くなる、同時に自分の理想から外れるとモヤモヤしてしまう一面が出てきた模様。

「丁度 風のない海のように  退屈な日々だった 思えば花も色褪せていたよ  君に会うまでは」 素晴らしい比喩表現と愛する人への美しき殺し文句。

「濡れる体 溶けてしまうほど 昼も夜も離れずに 過ごした時は ホントなの 君は今何おもう 腹の底から 君の名前を 叫んでとびだした IT’S MY SOUL カラのカラダが とぼとぼと はしゃぐ街を歩く」

愛する人に相当のめり込んでる気持ちが伝わります。

「濡れる体溶けてしまうほど」猛烈な稲葉節。 抜け殻のようになってしまった主人公が愛する人を探しに街を彷徨う。 ここのフレーズはヴァンパイア映画を想起させます。

「欲しい気持ちが 成長しすぎて 愛することを忘れて 万能の君の幻を 僕の中に作ってた」

このフレーズが全てです、この楽曲で伝えたい部分をストレートに表現してます。

「幻をいつも愛してる 何もわからずに」なんかゾッとするフレーズ、主人公は身を滅ぼしてしまったのかと想起させるフレーズ、ホラー要素を感じます。

この楽曲、元々シングル用では1995年のライブツアー『B'z LIVE-GYM Pleasure '95 BUZZ!!』の演出用として作られました。 当初はアルバム「RISKY」に収録されている「VAMPIRE WOMAN」があてられていたのですが、新曲を制作しようという事になりました。 「VAMPIRE WOMAN」が作られなければこの楽曲は生まれなかった、そう思うと大変感慨深いです。 「VAMPIRE WOMAN」ももちろん良い曲ですが、その何百倍もクオリティの高い楽曲をサラッと作ってしまう才能、それと同時に進化を遂げているという事。

松本氏曰く「(演出用だったので)メロディが2つしか出てこない簡単な曲」 天才は言うことが違う、確かに簡単な曲かもしれませんが、それをこんな凄い楽曲にアレンジして仕上げちゃうんですから。

 

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