すべてB'z~たまにB'z以外~

リモートDTMロックユニット「親戚グルーヴ」のコンポーザー"ヒロ・ヴィシャス"が大好きなB'zの楽曲群をデビュー曲~年代順にシングル・アルバム曲を1曲ずつレビューしていきます

ZERO

11作目のシングル「ZERO 」 1992年 10月7日リリース。

ハードロックとファンクを融合させたへヴィな楽曲。 ライブでも超盛り上がる人気曲でもあります。

今まではデジタルビートにハードロック要素をちらつかせ、ポップな作風でしたが、この作品より完全に現在のハードロックへ路線が変わりました。現在のB'zの作風の原点。

前アルバム「IN THE  LIFE」のポップな雰囲気は皆無なので、当時はかなり挑戦的な楽曲だったのではないでしょうか。

曲調は凄くハードロックだけど、メロディが成立してるので、大衆に受け入れる要素持っているという、凄い作品でもあります。日本人が作ったハードロックの最高傑作であり、日本でこれほど売れたハードロック無いと思います。

ジャジーなピアノイントロから一気にハードなギターリフと共にバンド演奏スタート、この斬新な楽曲展開に当時はカッコ良すぎて訳分からなかったのを覚えてます(笑)もう天才。

ライブでこのピアノイントロが流れると大歓声が上がるのもうなづけます。

0:26~「♪オーライ」でブレイクし、バンドグルーヴが一体となりったシンプルな8分のミュートバッキングが超クール。

Aメロ~ギラギラした街を抜け さっさとうちに帰ろう~メロディがロックです。

Bメロ♪たちの悪い癖だね~ここでリズムが16ビートに変わりダンサブルなグルーブに、メロディアスなベースラインが最高にクール。 ここからまたメインギターリフに戻りAメロ→Bメロと繰り返すのですが、サビに行くまで2:13と長めです。しかしサビまで、かなりジラされるのでサビの絶頂感最高に気持ちいいんです。

サビ♪今会いたい すぐ会いたい 砂漠の真ん中で~もう激アツで最高にカッコいいサビ、溜めていた分を一気に爆発。

そしてギターソロ、ロックのスタンダードなスケール音階を駆使したフレーズを展開。よく聴くとそこまで速いフレーズを弾いてないのに、とてもカッコイイですよね、もうセンスの塊というか、メロディアスなフレーズは皆無で、荒ぶるように弾く感じがもうロック。このギターソロを聴くと松本氏は海外のロックギタリストに匹敵するニュアンスというかフレーズセンスを感じます。

ギターソロ後、まさかの16分ビートにファンキーなブラスにラップが乗るという展開、よくぞ考えついた。ライヴでも盛り上がります。

そして、もう1発最後にサビ。 曲の終わりに、だめ押しのドリル音(インパクトドリルの先端にピックをつけて、それをギターの弦に当てて演奏するという物) 超クールな展開がこれでもかと詰め込まれているので、もうお腹いっぱいな気持ちになります(笑)

アレンジが凝っていて非常に面白い。

歌詞は平たく言うと「帰宅中に会社でのストレスを回想してイライラ」という内容。

稲葉氏が書く歌詞で、ここまでリアルに「心の闇」を歌うのはなかなか珍しいですね。

歌詞の中に「工事渋滞」なんて入ってるのがとても斬新でしたね。

主人公はとにかくムシャクシャして自暴自棄になっているのですが、それを見事に表現したのが

「たちの悪いくせだね このまま車ごと 君の家につっこもうか なんてことまで浮かんでくる」

稲葉氏らしい豪快なぶっ飛びフレーズ、実際にやってしまったら犯罪ですが(笑)ホントにイライラしてるとこんな気持ちになるのは分からなくもない、こういうなんとも言えない気持ちを見事に代弁してくれてます。

「空っぽの冷蔵庫開けて いろいろ思い出してると 都会の暮らしは、やけに 喉が乾いてしまう…」

ここ、リアルな表現ですね、都会で働いてる人は共感できる部分ではないでしょうか。

「今あいたい すぐあいたい 砂漠の真ん中で ねむりたい もうねむりたい 全部凍らせたまま 流れよう 流されよう この波に揺らされ ゼロがいい ゼロになろう もう一回」 今までのストレス爆発です。

「砂漠の真ん中で」というのは、都会疲れで人と会いたくないから 誰もいない砂漠で会いたいという事なのでしょうか、静かな空間で会いたいのは確かですがそれが例えば「彼女の部屋」とかではなく、いきなり「砂漠」になる所が、主人公は現実逃避したいくらお最高に疲れてるなぁと見て取れます。

「流れよう 流されよう この波に揺らされ 」

そして、抵抗するのを止めてこのまま流されようと決意、人に逆らうより言われるがままにしてた方が楽、だからこのまま波に揺らされよう・・・完全に自暴自棄になります。

「ゼロがいい ゼロになろう もう一回」

そして最終的になにもかも捨ててリセットしてゼロになろうという境地に達してます。 正に現実逃避。

稲葉氏のヴォーカルも声量が上がり、ハスキーな歌声なので今とは違った魅力があります。 個人的にはこの頃の声が1番好き。

「人の気も知らないで お前は変わったなんて 簡単に言うやつの胡散臭い顔だとか」 

の部分の歌い方ですが、以前の楽曲では見られなかったブルージーなニュアンスが入ってるのも新たな魅力ですね、なんか無理やりそれっぽく歌ってないというか、さらっと自然に歌えるのは稲葉氏のヴォーカル力の高さと成長を感じます。

稲葉氏のヴォーカルスタイルの完成ですね。

 

ちなみこの楽曲ノンタイアップでミリオンセラーを記録、当時のB'zとしてはこの楽曲

をリリースする事は大博打だったそう、松本氏はスタッフの反対を押しきり、「ZERO」リリースして見事に結果を出したのです。

B'zとしても新たなチャレンジというか方向転換の時期でした、今までとは違う自分達、自分達がホントにやりたい音楽を世間に しらしめたかったのだと思います。

ハードロック路線に舵取りしたら今までのファンが離れるのでは・・・売上が落ちるのでは・・・というプレッシャーをはねのけ、結果的に新たなファンを獲得し、オリコン1位もとり、ミリオンセラーも記録。

松本氏ホントに凄いメンタル、守りに入らず攻撃的な姿勢は見習いたいものです。

「ZERO」がもし売れなかったらB`zはきっと、ハードロックを基調として音楽やってなかったのではないでしょうか・・・

 

”新人バンドなどがよく説得される言葉が「今だけ、ちょっと妥協しろよ」「売れたら好きなことができるから」。でもそれはうそです。自分の信じることを貫いてブレークスルーしなかったら、そこから先も絶対にやりたいことはできない。”

これは山下達郎氏の名言

B`zはこれを体現したのでしょうか。


 

 

 

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