すべてB'z~たまにB'z以外~

リモートDTMロックユニット「親戚グルーヴ」のコンポーザー"ヒロ・ヴィシャス"が大好きなB'zの楽曲群をデビュー曲~年代順にシングル・アルバム曲を1曲ずつレビューしていきます

月光

アルバム「RUN」9曲目「月光」

美しく幻想的な珠玉のバラード。

この楽曲はホントに名バラード、夏の涼しい夜に月光を拝みながら聴いたらもう最高、情緒があると言いますか、風景が浮かんできます。

イントロは美しいギターのアルペジオにシンセ?がサビメロディを奏でます、この時点で月光感ハンパじゃないです。超幻想的。

Aメロ♪眠りに落ちていく その横顔を~ギターのみでしっとりと歌い上げます。

サビ♪すべてを盗みたい かすに漏れる息まで~珠玉のメロディ、感情を圧し殺すような歌唱がグッときます。

2番Aメロ前にフルートのフレーズが入ってるのですが、これがまた素晴らしい。

2番はバンド演奏と相まって、感情が高まりよりエモーショナルに。

ギターソロは、荒ぶる感情を押さえきれないかの如く弾いてます、 スリリングで鬼気迫る感じがたまらない、凄い表現力です。

Cメロ♪波のうねりのような~切ないメロディ、ここで感情が一気にこみ上げます、バッキングのメロディアスで浮遊感のあるシンセが曲の雰囲気を盛り上げてます。

♪ごまかしはしない あなたを抱き締めよう~押さえていた気持ちが解き放たれたかのような絶唱、この部分の稲葉氏の歌唱力と表現力はB'zのバラードの中でも1位、2位を争う名演だと思ってます、稲葉氏でなければ歌いこなせないでしょう。

アウトロは耽美的なギターフレーズ、そしてラストは泣きの雄叫び、おそらくギターの1番下のフレットから音を出しているのではないでしょうか?ってくらい、ギターってこんな音出せるんだ・・・、こういう繊細なプレイって速弾きなんかよりも断然難しいと思います。

松本氏の作曲の振り幅も凄い、前半のハードロックな曲作ってる人がこの楽曲作った人と同一人物に思えない。

歌詞は「不倫」と言われていますが、不倫で片付けてしまいには勿体ないくらい、深く美しい歌詞。 解釈は人それぞれなのではないしょうか。

「眠りにおちてゆく その横顔をむさぼるように見つめ 胸の響き悟られぬよう 蒼く染まる部屋を抜け出した」

愛しい人の寝顔を見つめている、そして相手にバレないようにそっと部屋を出て行く。主人公が部屋を出て行く理由は、なんなのでしょうか?そっと出て行くのは2人がイケない関係だからなのか?

「すべてを盗みたい かすかに漏れる息まで なのにいつかは 離れて行くと男は呟いている」 漏れる息まで盗みたいくらい愛しい人、でもいつかは離れていくと悟る、不倫を匂わせます。

「何かを期待する事で 時にすれ違うけれど 無心に与えあい続ける事は 夢の道端に咲く花の様だ 誰に出来る事なのだろう」

見返りを求めず、無償の愛を与え続ける人なんているの?という気持ちを見事に表現しております、 どうやったらこんな歌詞が書けるのか、詩人ですよ。

「波のうねりの様な正直なわがままを もっとぶつけてくれ ごまかしはしない あなたを抱きしめよう」

「もっと我慢しないで、正直に何でも言って欲しい」という相手への気持ちが爆発、2人にはそれぞれ弊害があり、ストレスがたまっていたのでしょうか。

「途切れた薄い雲が 目の前をまた横切れば 密かにも大きな決心が 今夜もぼやけてゆく」

大きな決心をしますが、勇気が出なくてまたぼやけてしまう、何かを犠牲にしなければならない一筋縄には行かない事情があるのでしょうか、決心がぼやける事と月が薄い雲に隠れてぼやける事を重ねて書いてます。

「闇の中から 柔らかに月は照らし続ける 少しづつずれながらも 手探りで寄り添い 歩く心を」

2人の関係にはゴールが見えません、いろんな弊害を1つずつ乗り換え、幸せに暮らせる方法を探すのでしょう。 この2人の一筋縄にいかない関係は、何も不倫だけではないでしょう、夢を追いかけるための遠距離恋愛、宗教感の問題等 弊害を抱えているシチュエーションはいろいろと思い浮かびますね。

この「月光」今は亡き稲葉氏のお父様が好きだった楽曲でもあります。

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