紅い陽炎
アルバム「RUN」3曲目「紅い陽炎」
ダークな雰囲気漂うどマイナーなロックバラード。
今までマイナーで切ないバラードは数曲ありましたが、どちらかと言うと切なさの中にもキラキラしてる感じがしていましたが、この楽曲は救いようがないくらいのどマイナー、それに加え重苦しいダークな雰囲気が終始漂います。
イントロ、ダークの中にも美しさを持つギタークリーンアルペジオに、叙情的なTAKトーンのソロフレーズが響きます。
Aメロ♪乾きかけた心に小さな~ ギターアルペジオをバックに、マイナーな情感たっぷりのメロディ。
Bメロ♪夜を越えるたびに 逆らうようなに炎を生んで~アルペジオのみの演奏からディストーションギターが鳴り、バンド演奏が始まる、ブレイクダウンを経てサビへ、感情が燃え上がる感じがドラマティック。
サビ♪抱き締めるほど君は 消えてしまいそうで~スローテンポな8ビートに、ダークでマイナーメロディが重苦しい。
サビへの高揚感は皆無、へヴィ。 ギターソロは泣きの最高到達点へ
ギターソロ後♪このままか これ以上か 愛の形何が欲しい~でラストサビに向けて、最高にエモーショナル。
ドラムフィルが入りラストサビへ 、歌詞の世界と相まってドラマティックなアレンジ。
松本氏のギターは、このアルバムで1番泣いており、もはや泣きの限界を越えてます。 ここまで強烈なリードギターは、他のギタリストでは表現出来ない唯一無二の個性、B'zサウンドは松本氏でないと成り立たないのがよく分かります。
イントロ ・2番Aメロ前 ・アウトロに挟むソロフレーズは、TAKトーンが美しくとても繊細。
歌詞の内容は「不倫」 失楽園のように、後には引き返せない泥沼な内容です。
「渇きかけた心に 小さなひびひとつ 互いのそれを触れ合った 夏の日」
配偶者がいる主人公てすが、日常生活を送っているが、どこか埋められないスキマがある、相手も同じ境遇、ある夏の日そこを埋め合うように二人は激しく愛し合います。
『消えゆく季節に ふたり逆らうように 炎を産んで』
『抱き締めるほど君は 消えてしまいそうで 戸惑いの中熱く 乱れ羽ばたいた』
世間の目や、不貞行為している事に対して不安や後ろめたさがある、ダメだと思っていても燃え上がってしまう。
『君の昔、僕のいま、これから…何を囁く 知ることの痛みもいくつか知ったよ』
お互いに引かれ合うと、相手の事をもっともっと知りたくなりますよね、相手は家庭を持っている人ですから、過去の話を聞くと配偶者の話が出てくる、でもそこに自分はいない・・・ という葛藤なのでしょうか。
『夜を越えるたびに ふたりただの男と女』
二人で愛し合う時は、旦那や嫁、又は父や母という事は忘れ、ここでは男と女という関係に。
『瞳を見たい 黒い髪に口づけたい 隠しきれない想いが とめどなくあふれる』
相手を思う気持ちが抑えられず、どんどん深みにハマっていきます。
『このままか これ以上か 愛の形 何が欲しい』 今の関係を続けるのか、一緒になってしまおうか?自分達の行く先はどうするべきなのか?悩み始めます。
『傷つくのはかまわない… いつまでも傷つけない 強く魅かれてゆくほどに 眠れぬ日は続く』
自分は傷つくのは構わないけど、相手を傷つけたくない、でも相手をどんどん好きになっていく。
『肌に触れたい 君の気配を感じたい 雑踏の中に立ち その名を叫びたい 胸を焦がし続ける 情熱の淵で 力尽きるまで 踊れ 紅い陽炎』
世間の目を気にしながらの秘密の関係ですから、堂々と都会の雑踏を歩いたり名前を呼んだりもできない、そこで相手の名を叫びたいと言うことは堂々と付き合いたいという事。凄い表現力だ。
「力尽きるまで 踊れ」とは意味深、二人はどんな結末を迎えるのか?まさか「心中?」・・・。
20代でこの歌詞を書いた稲葉氏、どんな経験したらこんな歌詞が書けるんだ?
日本音楽界でも屈指の不倫ソングでしょう、そのレベルの高さはこの歌詞で見られる、リアルな描写ではないでしょうか。私自身、不倫は肯定するタイプではありませんが(笑)この歌詞の情景描写はいやらしさよりも美しさを感じてしまいます。
稲葉氏のヴォーカルは、パワフルなハイトーンヴォイスていうイメージだと思いますが、特にこの楽曲ではサビで声を張り上げたりせず、ハスキーな中音域で感情を絞り出すよう歌い方が大変エモーショナルで素晴らしい、この時期の発声法だからこそできた芸当、この時期特有の声が突き抜けずつまるような感じのヴォーカルがたまらんのです。