すべてB'z~たまにB'z以外~

リモートDTMロックユニット「親戚グルーヴ」のコンポーザー"ヒロ・ヴィシャス"が大好きなB'zの楽曲群をデビュー曲~年代順にシングル・アルバム曲を1曲ずつレビューしていきます

遠くまで

”たまにB'z以外”という事でここからしばらく稲葉氏・松本氏のソロ作品レビューに入ります。  
稲葉氏初のマキシシングル1曲目「遠くまで」1998年12月16日 

ストリングスがフィーチャーされた壮大なロックバラード。
前作「マグマ」では稲葉氏独特の陰のある世界観を見せてくれました。本楽曲はそれらに比べメロディーも聴きやすくなってますが、やはり何処か陰のある部分は健在。

イントロ、美しくも翳りのあるストリングスフレーズからAメロ♪歩こう 肩を寄せて〜マイナーなメロディーを稲葉氏が優しく歌いあげます。

サビ♪遠くまで 僕らはゆける〜メジャーなメロディを伸びやかに歌い上げます、キャッチーなサビメロディー、でもどこか退廃的、これぞ稲葉氏の美学。
1番まではバッキングがストリングスのみで構成されており、1番が終わるとドラムフィルからのバンドグルーヴに展開、ドラマティックで超クールです。

Cメロ♪車についた小さなすり傷を〜重厚感のあるミドルテンポのグルーヴに、超早口で畳み掛ける歌唱、♪めくめくニュースから〜の部分、凄いリズム感。これを初めて聴いた当時は衝撃でしたね。日本でエアロスミスのような歌唱をやってのけるのは稲葉氏くらいでしょう。

ラストはストリングスとピアノで美しいフレーズを奏でる壮大なバンドグルーヴ、特にピアノフレーズがオシャレでエモーショナル、最高です。

"歩こう肩をよせて どんより滲む空の下 二人
呼んでくれ 好きな呼び名で
たわいないこと それでいい しゃべろう

遠くまで 僕らはゆける
強い雨も 凍る風も受けながら
目を覚ませば すべてがまぶしい
花の色も 街の声も 涙の理由さえも
悲しむことでも 喜ぶことでも
強くなってゆけるよ ひとつずつ 少しずつ

歩こうよ前をむいて たまに見つめあい そして恥じらって
今にも何かが 壊れそうな 本当にそんな世界だとしても

遠くまで 僕らはゆける
強い雨も 凍る風も受けながら
手をのばせば すべてが近づく
消えそうな 思い出も おぼろげな未来も
逃げるようにじゃなく 夢を追うように
進むこともできるよ 一歩ずつ 少しずつ

車についた小さなすりキズを気にして
オロオロ生きていくんだろうか これからずっと
自分で自分を責めたりしながら
めくるめくニュースから逃げられずに心を揺らして

それでも遠くまで 僕らはゆける
失くしても 傷ついても 自分であれ
大切なものは なんなんだろう
忘れないで 笑いながら 歌いながら ただゆけばいい
いつでも景色の片隅には君が映っているよ
花のように 微笑んで"

一見、恋人同士が困難を乗り越えながら関係を築いていく様が描かれていますが、でもテーマはもっと深いかと。
職場や学校で何か嫌な事があるとその世界に閉じこもり、"自分はもうこんな所でしか生きられなくなる"と絶望的な気持ちになってしまう...しかしそんな事はない、考え方を変えれば世界は広い。車についた小さなキズをいちいち気にしたりとかそんな些細な事を悩みながら生きる人生で良いのか?
挫折しそうになっても、自分はどうありたいのか?大切な物はなんなのか?信念を持って、それを忘れずに笑いながら進んでいけば、きっと自分の道が開けるはず。
今、この歌詞を読み解くとこんなメッセージを感じます。


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