すべてB'z~たまにB'z以外~

リモートDTMロックユニット「親戚グルーヴ」のコンポーザー"ヒロ・ヴィシャス"が大好きなB'zの楽曲群をデビュー曲~年代順にシングル・アルバム曲を1曲ずつレビューしていきます

もう一度キスしたかった

アルバム「IN THE LIFE」6曲目「もう一度キスしたかった

B'z至極の名曲。ひたすら切ないナンバー。

このクオリティでシングルカットされていなかった事が驚き、B'zファンでなくても知られている人気曲でもあります。

サビフレーズのピアノから曲が始まり、バンド演奏に展開。

Aメロ、ギターアルペジオで抑え気味なリズムと雰囲気。

Bメロから8ビートに展開します、ピアノの切ない旋律がかなり肝、この雰囲気を壊さないためにギターのチョーキングビブラート奏法を駆使し、ドラマティックに切なさを演出。

サビはヴォーカルとシンセがユニゾン、これが凄く切なくてメロディアス、バッキングはシンプルなコードバッキング。

ギターソロはSE的なシンセのみの演奏をバックに奏でられます、超エモーショナルでドラマティック。

アウトロはガットギターを使ったアルペジオ

この楽曲、特にサビメロディーは切なくも美しいそしてシンプル、B'z屈指の素晴らしいメロディ。稲葉氏「松本孝弘のメロディ」、松本氏「松本メロディの極み」と両氏が絶賛しているくらい、異論はありません。

間奏のバンド演奏が止まるギターソロ、アウトロのガットギターアルペジオ、編曲センスが素晴らしい。単調な展開にさせていないのがさすがで、楽曲の世界観を見事に作りあげております、作曲家としての松本氏の才能が爆発。

歌詞のテーマは「失恋」 稲葉氏の作詞力に脱帽。

2人の出会いから別れが見事に描かれており、まるで1つのドラマを見ているよう。

素晴らしいので歌詞全部乗せちゃいます(笑)

"眩しい夏につかまえた 強くしなやかな指先 寂しい人ごみの街で 

抑えていた恋をぶつけあった 本気に傷つくこと 恐れない澄んだ瞳が

雨の午前六時に 出て行く僕を包んで

曇る窓 優しく響かせて 流れる歌が哀しかった ふりかえるあなたを抱き寄せて

もう一度キスしたかった

再会はすぐに訪れ やがて迷いはなくなり 秋の扉たたくまで 心寄せあい歩いてた

二人違う場所でしか 叶わぬ夢を持っているから わずかな時間しか 

残ってないと知っていた

燃え上がる想いははかなくて 逢えない日々がまた始まる

安らぎと偽りの言葉を 何一つ言えないままに

約束は交わされることなく 揺れている恋は泡のよう

ふりかえるあなたを抱き寄せて もう一度キスしたかった

木枯らしが過ぎようとする頃 痩せてしまった二人の灯に

誘われてあなたはやってきた 決断を吹きかけるため 穏やかな笑顔作りながら

出会いを悔やむことはないと 言い聞かせグラスを開けた時 これが最後だと頷いた

白い息さよらな告げた時 車に乗り込んでゆく時 ふりかえるあなたを抱き寄せて

もう一度キスしたかった "

2人は夏に出会います、お互いに、数ヶ月後には別れなければいけないことを知っています、付き合う事に迷いがありますが、やがて迷いは消え、抑えていた気持ちをぶつけ合い、2人は付き合います。 しかし別れはやってきます。 2人は冬の始まりに最後の食事をして別れるという物語。

「痩せてしまった二人の灯に 誘われてあなたはやってきた 決断を吹きかけるため」 なんちゅう表現力。

「雨の午前六時に 出て行く僕を包んで」

「出会いを悔やむことはないと 言い聞かせグラスを開けた時 これが最後だと頷いた」 「白い息さよらな告げた時 車に乗り込んでゆく時 ふりかえるあなたを抱き寄せて もう一度キスしたかった

個人的にこの描写、メチャクチャリアルだと思うんですよ、しかも泣ける、ホントドラマみたい。これ稲葉氏の実体験なんでしょうかね?(笑)

このシチュエーションが当てはまる恋人達はかなりすごく共感し、泣ける事間違いなし。

曲中に3回、「もう1度キスしたかった」が出てくるのですが、この「もう1度キスしたかった」の理由がそれぞれ違うんです、面白い。

この稲葉氏の作詞テクニック、松本氏も絶賛しておりました。

ちなみに松本氏はこの楽曲をシングルカットしたかったらしいのですが、すでに「ALONE」のタイアップが決まっていたので、そちらを優先し断熱したとの事。 シングルなら確実にミリオンでしたね。
 B'zがJ-POPを本気で作った結果がこの曲。凄すぎる。

 

 

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